有機溶剤取り扱い業務を行う人へはどのような教育が必要ですか?

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【質問】有機溶剤取り扱い業務を行う人へはどのような教育が必要ですか?

有機溶剤業務を行う際は作業主任者を選任して、作業主任者が作業に従事する労働者を指揮する必要があります。作業主任者は所定の技能講習を修了する必要がありますが、作業主任者以外の労働者へはどのような教育がが必要ですか?

【答え】「有機溶剤業務従事者安全衛生教育」を実施するよう努めることが必要です

労働安全衛生法第60条の2において、危険又は有害な業務に現に就いている者に対してはその従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うよう努めることが求められています。

有機溶剤業務従事者安全衛生教育の法的根拠について解説

安全衛生教育

安全衛生教育

事業者は、前2条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うよう努めなければならない。

2 厚生労働大臣は、前項の教育の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。

労働安全衛生法第60条の2 安全衛生教育(抜粋・加筆)

危険有害業務従事者に対する安全衛生教育

危険又は有害な業務に現に就いている者に対する教育の指針が平成27年8月31日安全衛生教育指針公示第5号で公表されており、教育の対象者やカリキュラムについて記載されています。

趣旨

この指針は、労働安全衛生法第60条の2第2項の規定に基づき事業者が労働災害の動向、技術革新等社会経済情勢の変化に対応しつつ事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者(以下「危険有害業務従事者」という。)に対して行う、当該業務に関する安全又は衛生のための教育(以下「安全衛生教育」という。)について、その内容、時間、方法及び講師並びに教育の推進体制の整備等その適切かつ有効な実施のために必要な事項を定めたものである。

事業者は、危険有害業務従事者に対する安全衛生教育の実施にあたっては、事業場の実態を踏まえつつ本指針に基づき実施するよう努めなければならない。

危険又は有害な業務に現に就いている者に対する安全衛生教育に関する指針(抜粋)
1.対象者

安全衛生教育を行うべき危険有害業務従事者は、下記1〜3のに掲げる者とされています。

  1. 就業制限に係る業務に従事する者
  2. 特別教育を必要とする業務に従事する者
  3. 1又は2に準ずる危険有害な業務に従事する者
2.種類

安全衛生教育は、一定期間ごとに実施する「定期教育」と、作業が新たなものに変わる場合等に行う「随時教育」があります。

1に掲げる者が当該業務に従事することになった後、一定期間ごとに実施する安全衛生教育 (「定期教育」)又は取り扱う機械設備等が新たなものに変わる場合等に実施する安全衛生教育(「随時教育」)とする。

危険又は有害な業務に現に就いている者に対する安全衛生教育に関する指針

※教育の頻度については、安全衛生教育等推進要項(平成28年10月12日基発1012第1号)によると、定期教育については「おおむね5年ごとに」、随時教育については「取り扱う設備等が新たなものに変わった時等」とされています。

危険有害業務従事者に対する安全衛生教育カリキュラムの一覧

危険又は有害な業務に現に就いている者に対する安全衛生教育に関する指針内で示されている危険有害業務従事者に対する安全衛生教育カリキュラムは、以下の種類があります。(抜粋)

  1. 揚貨装置運転士安全衛生教育
  2. ボイラー取り扱い業務従事者安全衛生教育
  3. ボイラー溶接業務従事者安全衛生教育
  4. ボイラー整備士安全衛生教育
  5. クレーン運転士安全衛生教育
  6. 移動式クレーン運転士安全衛生教育
  7. ガス溶接業務従事者安全衛生教育
  8. フォークリフト運転業務(技能講習)従事者安全衛生教育
  9. 車両系建設機械運転業務従事者安全衛生教育
  10. フォークリフト運転業務(特別教育)従事者安全衛生教育
  11. 機械集材装置運転業務従事者安全衛生教育
  12. ローラー運転業務従事者安全衛生教育
  13. 有機溶剤業務従事者安全衛生教育
  14. チェーンソーを用いて行う伐木等の業務従事者安全衛生教育
  15. 玉掛業務従事者安全衛生教育
  16. 特例緊急作業従事者安全衛生教育
有機溶剤業務従事者安全衛生教育のカリキュラム

有機溶剤業務に従事している人を対象とした教育のカリキュラムは以下の内容です。4つの項目があり、合計6時間のカリキュラムとなっています。

1作業環境管理(1.5時間)
  1. 有機溶剤蒸気の発散防止対策に係る設備及び換気のための設備並びにそれらの保守、点検の方法
  2. 作業環境の状態の把握及び整備
2作業管理(1.0時間)
  1. 作業管理の方法
  2. 労働衛生保護具
3健康管理(1.5時間)
  1. 有機溶剤の種類及び有害性
  2. 有機溶剤の使用される業務
  3. 有機溶剤による健康障害、その予防方法及び応急措置
  4. 健康診断及び事後措置
4災害事例及び関係法令(2.0 時間)
  1. 災害事例とその防止対策
  2. 有機溶剤業務に係る労働衛生関係法令
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