防じんマスクなどの型式検定による譲渡や使用の制限の法的根拠は?

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【質問】防じんマスクなどは型式検定を合格したものしか使えないと認識していますが、具体的にどのような規制がされているのですか?

防じんマスクや保護帽なのどの一部の保護具は型式検定に合格したものしか使えないと認識していますが、具体的にどのような法律でどのような行為が規制されているのですか?

【答え】健康障害を防止するために使用するものなどは、型式検定などに合格しなければ使用および譲渡・貸与・設置してはいけません

健康障害等を防止するために使用される機械等について労働安全衛生法第44条で規制がされており、それに適合しないと譲渡・貸与・設置ができません。また、労働安全衛生規則27条により、労働安全衛生法第44条に適合した機械等でなければ事業者は使用することができません。

防じんマスクなどの型式検定の法的根拠

譲渡等の制限

危険若しくは有害な作業を必要とするものや、危険な場所において使用するもの、危険若しくは健康障害を防止するために使用するものなどは、厚生労働大臣が定める規格や安全装置を具備しなければならないとされています。

譲渡等の制限等

特定機械等以外の機械等で、別表2に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

労働安全衛生法第42条(抜粋)

譲渡等が制限される機械等(別表2)

上記の安全衛生法42条の別表2に記載されている内容は、以下のとおりです。

別表第2(第42条関係)

  1. ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機及びその急停止装置
  2. 第二種圧力容器
  3. 小型ボイラー
  4. 小型圧力容器
  5. プレス機械又はシャーの安全装置
  6. 防爆構造電気機械器具
  7. クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
  8. 防じんマスク
  9. 防毒マスク
  10. 木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は波の接触予防装置
  11. 動力により駆動されるプレス機械
  12. 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置
  13. 絶縁用保護具
  14. 絶縁用防具
  15. 保護帽
  16. 電動ファン付き呼吸用保護具

譲渡等が制限される機械等(政令で定めるもの)

上記の安全衛生法42条の政令で定めるものは、以下のとおりです。

厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等

3 法第42条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等とする

※以下に記載(1〜34) 

労働安全衛生法施行令13条(抜粋)
  1. アセチレン溶接装置のアセチレン発生器
  2. 研削盤、研削といし及び研削といしの覆い
  3. 手押しかんな盤及びその刃の接触予防措置
  4. アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置の安全器
  5. 活線作業用装置
  6. 活線作業用器具
  7. 絶縁用防護具
  8. フォークリフト
  9. 別表7に掲げる建設機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるもの
  10. 型わく支保工用のパイプサポート、補助サポート及びウイングサポート
  11. 別表第8に掲げる鋼管足場用の部材及び付属金具
  12. つり足場用のつりチェーン及びつりわく
  13. 合板足場板
  14. つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満のクレーン
  15. つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満の移動式クレーン
  16. つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満のデリック
  17. つり上げ荷重が0.5トン以上2トン未満のデリック
  18. 積載荷重が0.25トン以上1トン未満のエレベーター
  19. 積載荷重が0.25トン以上の簡易リフト
  20. 再圧室
  21. 潜水器
  22. 波高値による定格管電圧が10キロボルト以上のX線装置
  23. ガンマ線照射装置
  24. 紡績機及び製綿機械で、ピーター、シリンダー等の回転体を有するもの
  25. 蒸気ボイラー及び温水ボイラーのうち、第1条第3号イからヘまでに掲げるもの
  26. 第1条第5号イからニまでに掲げる容器のうち、第一種圧力容器以外のもの
  27. 大気圧を超える圧力を有する気体をその体部に保有する容器で、内容積が0.1立方メートルを超えるもの
  28. 墜落制止用器具
  29. チェーンソー
  30. ショベルローダー
  31. フォークローダー
  32. ストラドルキャリヤー
  33. 不整地運搬車
  34. 作業床の高さが2メートル以上の高所作業車

型式検定

上記の労働安全衛生法第42条で規定されている機械等のうち、下記のものについては「型式検定」を受けなければならないとされている。

ちなみに、型式検定は機械等の型式に対して行う検定であり、大量に生産されるものをサンプリングして試験を行います。

一方、個別検定は機械等の1台ごとに試験を行います。

型式検定

第42条の機械等のうち、別表第4に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。

労働安全衛生法第44条の2(抜粋)

型式検定を受けなければならない機械等(別表第4)

上記の安全衛生法42条の別表題4に記載されている内容は、以下のとおりです。

別表第(第44条の2関係)

  1. ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式以外の制動方式のもの
  2. プレス機械又はシャーの安全装置
  3. 防爆構造電気機械器具
  4. クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
  5. 防じんマスク
  6. 防毒マスク
  7. 木材加工用丸のこ盤の歯の接触予防装置のうち可動式のもの
  8. 動力により駆動されるプレス機械のうちスライドによる危険を防止するための機構を有するもの
  9. 絶縁用保護具
  10. 絶縁用防具
  11. 保護帽
  12. 電動ファン付き呼吸用保護具

型式検定を受けるべき機械等

型式検定を受けるべき機械が労働安全衛生法施行令第14条の2に記載されています。

型式検定を受けるべき機械等

法第44条の2第1項の政令で定める機械等は次に掲げる機械等とする。

※以下に記載

労働安全衛生法施行令第14条の2(抜粋)
  1. ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式以外の制動方式のもの
  2. プレス機械又はシャーの安全装置
  3. 防爆構造電気機械器具(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるものを除く。)
  4. クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
  5. 防じんマスク(ろか材及び面体を有するものに限る。)
  6. 防毒マスク(ハロゲンガス用又は有機ガス用のものその他厚生労働省令で定めるものに限る。)
  7. 木材加工用丸のこ盤の歯の接触予防装置のうち可動式のもの
  8. 動力により駆動されるプレス機械のうちスライドによる危険を防止するための機構を有するもの
  9. 交流アーク溶接用自動電撃防止装置
  10. 絶縁用保護具(その電圧が、直流にあっては750ボルトを、交流にあっては300ボルトを超える充電回路に用いられるものに限る。)
  11. 絶縁用防具(その電圧が、直流にあっては750ボルトを、交流にあっては300ボルトを超える充電回路に用いられるものに限る。)
  12. 保護帽(物体の飛来若しくは落下又は墜落による危険を防止するためのものに限る。)
  13. 電動ファン付き呼吸用保護具

規格に適合した機械等の使用

労働安全衛生規則第27条において、事業者は労働安全衛生法第42条を満たす機械等でなければ、その機械等を使用してはならないと定められています。

規格に適合した機械等の使用

事業者は、法別表第2に掲げる機械等(※譲渡等が制限される機械等)及び令第13条第3項各号に掲げる機械等(※厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)については、法第42条(※譲渡等の制限等)の厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備したものでなければ、使用してはならない。

労働安全衛生規則第27条 規格に適合した機械等の使用(抜粋・追記)
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