特別教育の省略が可能な人はどんな人ですか?

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【質問】特別教育の省略が可能な人はどんな人ですか?

特別教育は「十分な知識及び技能を有している」場合は省略可能と法律に書いてありますが、具体的にはどんな人が省略可能ですか?

【答え】基発で例が示されており、上級の資格を持つ者、外部や他事業所で教育を受けた者、職業訓練を受けた者です。

特別教育の省略について「昭和47年9月18日 基発第601号の1」および「昭和48年3月19日 基発第145号」で例示されています。特別教育の省略が可能な条件を要約すると以下の内容です。

  1. 労働災害防止団体等が行なった講習を受講したもの
  2. 上級の資格を有する者
  3. 他の事業場においてすでに特別の教育を受けた者
  4. 職業訓練を受けた者

特別教育の省略の法的根拠について解説

安全衛生教育

特別教育の大元の法的根拠は、労働安全衛生法第59条3項です。

安全衛生教育

3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならない。

労働安全衛生法第59条 安全衛生教育

ちなみに、労働安全衛生法第59条3項に違反した場合は罰則があり、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

罰則

次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

……、第59条第3項、……の規定に違反した者

労働安全衛生法第119条 罰則

特別教育を必要とする業務

上記の労働安全衛生法第59条3項の「危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるもの」について、労働安全衛生規則第36条に記載されています。

特別教育を必要とする業務

法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。

1 研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務

………

41 高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務

労働安全衛生規則第36条 特別教育を必要とする業務

特別教育の科目の省略

労働安全衛生規則37条に「特別教育の科目の省略」という条文があり、条件を満たす者については特別教育の科目を省略できる旨が記載されているが、その条件については注意が必要です。

特別教育の科目の省略

事業者は、法第59条第3項の特別の教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。

労働安全性規則37条 特別教育の科目の省略
特別教育科目を省略する者

特別教育の科目を省略することができる者の例が、下記の基発で例示されています。

特別教育科目を省略する者

労働災害防止団体等が本条に掲げる業務について、第39条その他の省令で定める要件を満たす講習を行った場合で、同講習を受講したことが明らかな者については、第37条に該当する者として取り扱って差し支えないものであること。

昭和47年9月18日 基発第601号の1
特別教育の科目の省略が認められる者とは

特別教育の科目の省略が認められる者についての質疑が基発で出ています。

 安衛則第37条により特別教育の科目の省略が認められる者は、具体的にどのような者か。

 当該業務に関連し上級の資格(技能免許または技能講習修了)を有する者、他の事業場において当該業務に関し、すでに特別の教育を受けた者、当該業務に関し、職業訓練を受けた者等がこれに該当する。

昭和48年3月19日 基発第145号

上記の基発を要約すると、以下の3つの条件のいずれかに該当する場合は特別教育の省略が認められることになります。

  1. 上級の資格を有する者
  2. 他の事業場においてすでに特別の教育を受けた者
  3. 職業訓練を受けた者 等
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