【質問】法律で定められた安全管理者の職務は?
安全管理者の選任が法律上必要なことは知っていますが、安全管理者の具体的な職務がわかりません。
【回答】安全管理者の職務は「総括安全衛生管理者の職務のうち安全に係る技術的事項の管理」「職場の巡視」があります。また、安全管理者には「安全に関する措置」をなし得る権限を与える必要があります。
安全管理者は「総括安全衛生管理者の職務のうち安全に係る技術的事項の管理」「職場の巡視」を行う必要があります。また、安全管理者には「安全に関する措置」ををなし得る権限を与える必要があります。それぞれを箇条書きすると以下の内容となります。
総括安全衛生管理者の職務のうち安全に係る技術的事項の管理
- 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
- 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
- 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
- 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
- 安全衛生に関する方針の表明に関すること
- 法28条の2第1項又は57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。(リスクアセスメント)
- 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
職場の巡視
- 作業場等を巡視、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を行うこと
安全に関する措置
- 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
- 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期点検及び整備
- 作業の安全についての教育および訓練
- 発生した災害原因の調査および対策の検討
- 消防及び避難の訓練
- 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
- 安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録
- その事業の労働者が行う作業がほかの事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置
安全管理者の職務の法的根拠について解説
安全管理者の職務
安全管理者の職務について、労働安全衛生法第11条に記載されています。
安全管理者
事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第一項各号の業務のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。
労働安全衛生法第11条第1項 安全管理者
上記「前条第一項各号」とは、以下の労働安全衛生法第10条1項の条文の内容です。
統括安全衛生管理者
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
1 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
2 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
3 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
4 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
5 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの。
労働安全衛生法第10条第1項 総括安全衛生管理者
上記「労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの」とは、労働安全衛生規則第3条の2の条文の内容です。
総括安全衛生管理者が総括管理する業務
法第10条第1項第5号の厚生労働省令で定める業務は、以下のとおりとする。
1 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
2 法28条の2第1項又は57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
3 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
労働安全衛生規則第3条の2 総括安全衛生管理者が総括管理する業務
なお、上記の「法28条の2第1項又は57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査」とは、リスクアセスメントのことです。
安全管理者の巡視
安全管理者の職場巡視について、労働安全衛生規則第6条に記載されている。
安全管理者の巡視及び権限の付与
安全管理者は、作業場等を巡視、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、安全管理者に対し、安全に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。
労働安全衛生規則第6条 安全管理者の巡視及び権限の付与
上記「安全に関する措置」について、昭和47.9.18基発第601号の1に記載されています。
第6条関係
(2)第2項の「安全に関する措置」とは、法第11条第1項の規定により安全管理者が行うべき措置をいい、具体的には、次のごとき事項を指すものであること。
イ 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置(設備新設時、新生産方式採用時等における安全面からの検討を含む。)
ロ 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期点検及び整備
ハ 作業の安全についての教育および訓練
二 発生した災害原因の調査および対策の検討
ホ 消防及び避難の訓練
へ 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
ト 安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録
チ その事業の労働者が行う作業がほかの事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置
昭47.9.18 基発第601号の1