【質問】高速液体クロマトグラフ分析とはどのような分析方法ですか?
作業環境測定で使用する高速液体クロマトグラフ分析方法とは、どのような分析方法ですか?
【回答】液体クロマトグラフィーを迅速、簡便かつ高精度で再現性良く分離・定量できるように開発された方法です
高速液体クロマトグラフ分析方法とは、液体クロマトグラフィーを迅速、簡便かつ高精度で再現性良く分離・定量できるように開発された方法です。
高速液体クロマトグラフ分析とは?
高速液体クロマトグラフ分析方法とは、液体クロマトグラフィーを高性能充てん剤、高圧送液ポンプ、高感度検出器を備えた装置を用いることによって、微量試料を迅速、簡便かつ高精度で再現性良く分離・定量できるように開発された方法です。
適当な溶媒に溶ける物質ならどんな資料でも分析対象となります。
液体クロマトグラフィーの種類(分離機能)
液体クロマトグラフィーは分離機能の違いから「吸着クロマトグラフィー」「分配クロマトグラフィー」「イオン交換クロマトグラフィー」「ゲル浸透クロマトグラフィー」に大別できます。
吸着クロマトグラフィー
吸着クロマトグラフィーとは、カラムに吸着させた分析成分を固定相固体に対する親和性の相違により各成分が異なる速度で移動することを利用して成分を分離する方法です。
有機溶媒に溶ける非イオン性化合物の分離、特に極性の異なる置換基をもつ有機化合物や異性体間の分離に有用です。
一方、アルキル基の相違、分子量の相違、同族化合物間の識別は困難です。また、試料成分が吸着したときに変質するおそれがあるという難点があります。
分配クロマトグラフィー
分配クロマトグラフィーとは、移動相と固体相の液体間に分離された分析成分の2相間への分配の相違によって成分を分離する方法です。
極性化合物から無極性化合物まで幅広い性質をもつ化合物が分離の対象になります。また、再現性の高いカラムの作製が可能であるため、精度の高い定量分析が可能であり、有機化合物の分離にこの方法がよく使われています。
イオン交換クロマトグラフィー
イオン交換クロマトグラフィーとは、荷電した分析成分を固体相のイオン交換体とイオン交換して移動相と固体相との間に分配する際に、それぞれのイオン性物質がイオン交換体に対する親和性の違いによりカラム内の移動速度が異なる性質により成分を分離する方法です。
ゲル浸透クロマトグラフィー
ゲル浸透クロマトグラフィーとは、固体相に三次元網目構造をもつものを使用し、多孔性粒子の細孔内部への浸透性の違いによって分離する方法です。
細孔径より大きい分子は細孔内部に侵入できないため粒子の間を通って速やかに溶出します。細孔径より小さい分子は細孔内部にまで侵入するのでカラム内での移動速度が遅くなり、分析成分の分離が可能になります。
高速液体クロマトグラフが関連する法令
蛍光光度分析が関連する法令を紹介します。
令第21条第7号に掲げる作業場の濃度の測定は、別表第1の上欄に掲げる物の種類に応じて、それぞれ同表の中欄に掲げる試料採取方法又はこれと同等以上の性能を有する試料採取方法および同表の下欄に掲げる分析方法又はこれと同等以上の性能を有する分析方法によらなければならない。
作業環境測定基準第10条(抜粋)
物の種類 | 試料採取方法 | 分析方法 |
一・ 一-ジメチルヒドラジン | 固体捕集方法 | 高速液体クロマトグラフ分析方法 |
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参考文献
作業環境測定のための分析概論(公益社団法人 日本作業環境測定協会)