直接捕集方法とはどのようなサンプリング方法ですか?

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【質問】直接捕集方法とはどのようなサンプリング方法ですか?

作業環境測定の「直接捕集法」とは、どのようなサンプリング方法ですか?

【回答】直接捕集方法の定義について、作業環境測定基準第1条に定義が記載されています。

直接捕集法の定義は、作業環境測定基準第1条に記載されています。

直接捕集方法は、「真空捕集瓶」や「捕集袋」を使用します。

直接捕集方法とは

直接捕集方法とは、試料空気を捕集容器内に直接採取する方法です。

直接捕集方法の定義

直接捕集方法の定義について、作業環境測定基準第1条に定義が記載されています。

直接捕集方法

試料空気を溶解、反応、吸着等をさせないで、直接、捕集袋、捕集びん等に捕集する方法をいう。

作業環境測定基準第1条

また、上記「作業環境測定基準第1条」の「直接捕集方法」「捕集袋、捕集びん等」について、「昭和51年6月14日 基発第454号」に解説が記載されています。

直接捕集方法について

直接捕集方法」の例が「昭和51年6月14日 基発第454号」に記載されています。

第3号の「直接捕集方法」には、次の図で示すような方法があること。

昭和51年6月14日 基発第454号

捕集袋、捕集びん等について

「捕集袋、捕集びん等」について「昭和51年6月14日 基発第454号」に記載されています。

第3号の「捕集袋、捕集びん等」の「等」には、注射筒(シリンジ)が含まれること。

昭和51年6月14日 基発第454号

捕集容器

直接捕集方法の捕集容器には「真空捕集瓶」や「捕集袋」を使用します。

真空捕集瓶による採取

真空捕集瓶を使用した試料空気の採取には、内容席が1L以上のガラス製の捕集瓶が用いられます。捕集瓶の内面は測定対象物質に対して不活性でなければなりません。

真空捕集瓶に採取した試料空気は、直射日光や高温を避けて保存し、なるべく早く分析します。捕集瓶内のでの濃度減衰の程度は測定対象物質によって異なりますが、いずれにせよ即日分析を行うことが望ましいです。

捕集袋による採取

捕集袋の内容積は、試料採取から分析までに要する時間をとその怠惰の濃度減衰を考慮して、5L以上のものを使用します。

試料空気を捕集袋に採取する方法は、以下の3つがあります。

  1. 電動ポンプを通して袋内に試料空気を送り採取する方法
  2. 固定容器を用いて、容器内の空気を排気することで捕集袋内試料空気を採取する方法
  3. 防爆対応が必要な場所で、電動ポンプを用いないで100mL程度の注射筒を使用して100mL min⁻¹程度の流量で試料空気を採取し、捕集袋に繰り返して送入する方法

採取後はなるべく早く分析することが望ましく、やむを得ず試料空気を保存する場合は、直接日光や高温の影響を避け、温度変化の少ない暗い場所を選んで保管する。

真空捕集方法の留意事項

真空捕集方法でサンプリングを行う際の留意事項として、以下ののようなものがあります。

  1. 捕集容器内の試料は、分析前に濃度が均一になるようよく混合します。真空捕集瓶の場合は、あらかじめ小径のフッ素樹脂ボールを数個入れておくことで撹拌が可能になります。
  2. 捕集容器の漏れは試料空気の濃度変化の原因になります。使用前に漏れがないことを確かめてから使用する必要があります。特に真空捕集瓶の場合は、試料採取の時点で1.33kPa以下の真空度が必要なため、コックや管の接続部は不活性のパッキングなどで締め付けておきます。フッ素樹脂性のものは締め付けによって少しずつ変形し、漏れの原因になる恐れがあるので、時々点検をします。
  3. すり合わせ部分にグリースなどを用いると、試料の吸着や試料空気の汚染の原因になります。
  4. 試料採取時間は、環境を評価する場合の重要な要素です。その時間内の平均濃度を求めるためには、試料採取時の空気流量をある程度一定に保ちます。
  5. 試料空気採取に用いる捕集容器の試料採取口には、フッ素樹脂、ガラスなどの不活性材料を使用します。ポンプ等の捕集容器を通じて採取する場合は、試料空気中の対象物質の濃度変化がないことを確かめておきます。
  6. 試料空気中から水分を取り除く場合には、ガラス管に約1gの無水炭酸カリウム粒、無水硫酸カルシウム粒などの乾燥剤を詰めておき、これを試料採取口の前に接続して使用します。このとき、用いる乾燥剤が測定対象物質に対する吸着あるいは反応などがないことをあらかじめ確認必要があります。
  7. 各種の捕集容器については、特に内面の洗浄に注意が必要です。窒素または洗浄空気の送入と排気を2〜3回繰り返し、分析に影響がないよう汚染物を除去します。内面の洗浄に水や洗剤を用いると、その影響が後々まで現れることがあります。
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