特定化学物質作業主任者の選任が必要な作業の定義は?

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【質問】特定化学物質作業主任者の選任が必要な作業は?

特定化学物質を取り扱う作業を行う場合は作業主任者の選任が必要だと思いますが、特定化学物質は種類や条文が複雑でよくわかりません。

【答え】特定化学物質を製造又は取り扱う作業を行う場合は選任が必要です。ただし、一部細かい例外があります。

特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業を行う場合は特定化学物質作業主任者の選任が必要です。ただし、「試験研究のため取り扱う作業」や法令で定められた「特定化学物質障害予防規則の適用除外となる作業」「特別有機溶剤に該当するため有機溶剤作業主任者の選任が必要な作業」については、特定化学物質作業主任者の選任は不要です。

特定化学物質作業主任者の選任について解説

特定化学物質作業主任者の法的根拠

作業主任者を選任すべき作業

特定化学物質作業主任者の法的根拠は、労働安全衛生法施行令第6条18項に記載されています。

作業主任者を選任すべき作業

18 別表第3に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業

(試験研究のため取り扱う作業及び同表第二号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを除く。)

労働安全衛生法施行令第6条18項(抜粋・加筆)

作業主任者を選任すべき作業および不要な作業について解説

上記「労働安全衛生法施行令第6条18項」を分解して解説を行います。

繰り返しになりますが、再度条文を引用して解説を記載します。

作業主任者を選任すべき作業

18 別表第3に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業

試験研究のため取り扱う作業

及び同表第二号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に掲げる物

又は同号37に掲げる物同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に係るもの

を製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを除く

労働安全衛生法施行令第6条18項(抜粋・加筆)

まず、特定化学物質作業主任者の選任が必要な作業は、赤色で強調した「特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業」です。

ここからは特定化学物質作業主任者の選任が不要な作業について解説します。下の()で括られている部分は、作業主任者の選任が不要な作業について記載しています。

まず、紫色で強調した「試験研究のため取り扱う作業」を行う場合は、特定化学物質作業主任者の選任が不要です。

次に、「及び」以降の条文について解説します。

同表第二号3の3、」と長文が続いていますが、要するに「緑色で強調した物質製造し、又は取り扱う作業厚生労働省令で定める」作業は特定化学物質作業主任者の選任が不要という意味となります。

続いて、「又は」以降の条文について解説します。

「及び」以降と「又は」以降で、緑色で強調している塊が2箇所ありますが、よく読むとわかりますが内容は同じです。違いは「同号37に掲げる物」という枕詞がついているかどうかの違いです。「同号37に掲げる物」とは、「特定化学物質を含有する製剤」という意味です。要するに「特定化学物質を含有する製剤のうち緑色で強調した物質製造し、又は取り扱う作業厚生労働省令で定める」作業は特定化学物質作業作業主任者の選任が不要ということになります。

最後に「厚生労働省令で定める」作業について解説します。

厚生労働省令で定める」作業について、特定化学物質障害予防規則に記載されています。

特定化学物質作業主任者の選任

第27条 事業者は令第6条第18号の作業については、特定化学物質及び四アルキリ鉛等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。

2 令第6条第18号の「厚生労働省令で定める」ものは、次に掲げる業務とする。

① 第2条2各号に掲げる業務(※特定化学物質障害予防規則の適用除外のこと)

② 第38条の8において準用する有機則第2条第1項及び第3条第1項の場合におけるこれらの項の業務(※特別有機溶剤を取り扱う作業を行う場合は有機溶剤作業主任者が必要になること)

特定化学物質障害予防規則 第27条(抜粋・加筆)

作業主任者の選任が必要・不要な作業についてまとめ

作業主任者の選任が必要な作業・不要な作業についてまとめます。以下の条文をわかりやすく書き直します。

作業主任者を選任すべき作業

18 別表第3に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業

試験研究のため取り扱う作業

及び同表第二号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に掲げる物

又は同号37に掲げる物同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に係るもの

製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを除く

労働安全衛生法施行令第6条18項(抜粋・加筆)

私の言葉で書き直したものは以下のとおりです。

作業主任者を選任すべき作業

特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業を行う場合は作業主任者の選任が必要です。

ただし、緑色の字で強調した物質製造し、又は取り扱う作業のうち特定化学物質障害予防規則の適用除外に当てはまるもの、特別有機溶剤に該当するため有機溶剤作業主任者の選任が必要な作業については特定化学物質作業主任者の選任は不要です。

労働安全衛生法施行令第6条18項を筆者が解説
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