【質問】有機溶剤を使用しています。どのような場合に作業環境測定は必要ですか?
有機溶剤を使用していますが、作業環境測定が必要かどうかがわかりません。有機溶剤を使用する際の作業環境測定の要否について教えてください。
【回答】第一種有機溶剤および第二種有機溶剤を用いた有機溶剤業務を行う場合に必要です。
第一種有機溶剤および第二種有機溶剤を用いた有機溶剤業務を行う場合に必要です。ただし、有機溶剤中毒予防規則第3条1項に記載された条件を満たして、労働基準監督署の認定を受けた場合は、有機溶剤中毒予防規則の大部分が適用されないため、作業環境測定についても適用されません。
有機溶剤を使用している場合の作業環境測定の法的根拠について解説
「作業環境測定」の言葉の定義
「作業環境測定」という言葉の定義について、労働安全衛生法第2条4項(定義)に記載されています。
第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
4 作業環境測定 作業環境の実態をは握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう。
労働安全衛生法第2条 定義 第4号
作業環境測定の法的根拠
作業環境測定の法的根拠について、労働安全衛生法第65条(作業環境測定)に記載されています。
第65条(作業環境測定)
第1項事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
労働安全衛生法第65条 作業環境測定(抜粋)
作業環境測定を行うべき作業場
「有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるもの」について、労働安全衛生法施行令第21条に記載されており、有機溶剤に関しては第10項に明記されています。
第21条(作業環境測定を行うべき作業場)
労働安全衛生法施行令第21条 作業環境測定を行うべき作業場 第10号
10 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場
測定
「有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるもの」について、有機溶剤中毒予防規則第28条に記載されています。
有機溶剤中毒予防規則第28条 測定
令第21条第10号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第6の2第1号から第47号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務とする。
有機溶剤中毒予防規則第28条 測定(抜粋)
令別表第6の2第1号から第47号までに掲げる有機溶剤とは
令別表第1号から第47号までに掲げる有機溶剤とは、「第一種有機溶剤等」「第二種有機溶剤等」のことであり、有機溶剤中毒予防規則第1条(定義等)に明記されています。
有機溶剤中毒予防規則第1条(定義等)
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
3 第一種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
イ 令別表第6の2第28号又は第38号に掲げる物
4 第二種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
イ 令別表第6の2第1号から第13号まで、第15号から第22号まで、第24号、第25号、第30号、第34号、第35号、第37号、第39号から第42号まで又は第44号から第47号までに掲げる物
有機溶剤中毒予防規則 第1条 定義等
なお、上記の第一種有機溶剤等および第二種有機溶剤等に含まれていない第14号、第23号、第26号、第27号、第29号、第31号から第33号、第36号、第43号は削除されています。
有機溶剤業務とは
「有機溶剤業務」とは、有機溶剤中毒予防規則第1条6号に記載されている業務のことです。
有機溶剤中毒予防規則第1条 定義等
第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
6 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。
イ 有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、撹拌(かくはん)、加熱又は容器若しくは設備への注入の業務
ロ 染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴム若しくは可塑剤又はこれらのものの中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、撹拌(かくはん)又は加熱の業務
ハ 有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務
ニ 有機溶剤含有物を用いて行う文字の書込み又は描画の業務 ホ 有機溶剤等を用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務
ヘ 接着のためにする有機溶剤等の塗布の業務
ト 接着のために有機溶剤等を塗布された物の接着の業務
チ 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務
リ 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務(ヲに掲げる業務に該当する塗装の業務を除く。)
ヌ 有機溶剤等が付着している物の乾燥の業務
ル 有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務
ヲ 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務
有機溶剤中毒予防規則第1条 定義等
第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務とは
「第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務」とは、有機溶剤中毒予防規則第3条1項に記載されている適用除外認定のことです。記載された条件を満たして、労働基準監督署の認定を受けた場合は、有機溶剤中毒予防規則の大部分が適用されないため、作業環境測定についても適用されない。
有機溶剤中毒予防規則第3条 第1項
この省令(第4章中第27条及び第8章を除く。)は、事業者が第一条第一項第六号ハからルまでのいずれかに掲げる業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該業務については、適用しない。この場合において、事業者は、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長の認定を受けなければならない。
一 屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所において当該業務に労働者を従事させる場合で、作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常態として超えないとき。
二 タンク等の内部において当該業務に労働者を従事させる場合で、一日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常に超えないとき。
有機溶剤中毒予防規則第3条 第1項(抜粋)