労働安全衛生法の事業場とは?

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【質問】労働安全衛生法の事業場の定義は何ですか?

労働安全衛生法では、総括安全衛生管理者や安全管理者、衛生管理者などの条文で「事業場」という言葉が出てきますが、「事業場」の定義は何ですか?

【回答】事業場とは一定の場所において行われる作業の一体です

事業場とは、「一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体」です。

同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とします。

しかし、同一場所にあっても著しく労働の態様を異にする部門が存する場合は、その部門は別個の事業場としてとらえます。

また、場所的に分散しているものであっても、規模が著しく小さく独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱います。

労働安全衛生法の事業場について解説

「事業場」という言葉が最初に出てくる条文

労働安全衛生法で「事業場」という言葉が初めて出てくる条文は、労働安全衛生法第10条(総括安全衛生管理者)の条文です。

総括安全衛生管理者

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

労働安全衛生法第10条(総括安全衛生管理者)

事業場の範囲

事業場の範囲について、昭和47年9月18日 発基第91号で解説されています。

事業場の範囲

この法律は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規定を適用することにしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。

すなわち、ここで事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう。したがつて、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである。

しかし、同一場所にあつても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることによつてこの法律がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえるものとする。たとえば、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等はこれに該当する。

また、場所的に分散しているものであつても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱うものとすること。

労働安全衛生法の施行について(昭和47年9月18日 発基第91号)

事業部制の事業場の範囲

事業部制の事業場の範囲について、昭和47年11月15日基発第725号に記載があります。

事業部制の事業場の範囲

【問】造船事業で事業部制をとっている場合、事業場の範囲はどうなるか。

【答】造船所等の各工場が事業部制をしていても造船所長がこれを総括的に管理している場合には、当該造船所を1つの事業場として法を適用するものである。

所長がおかれない場合であっても、共通事項を管理する部門は、事業部から独立しておかれるのが一般であり、衛生管理等はこの管理部門において一元的に取り扱われていることが多いから、このような場合にも当該造船所を1つの適用事業場と考えるべきである。

各事業部が完全に独立し、共通事項を管理する部門が別個に存在しない場合には、それぞれの事業部において総括的安全衛生管理を実施することが期待できるから各事業部ごとに別個の事業場として法を適用することとされたい。

昭和47年11月15日 基発第725号
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