【質問】総括安全衛生管理者の具体的な職務は何ですか?
総括安全衛生管理者の職務は安全衛生活動を総括するイメージがありますが、総括安全衛生管理者の具体的な職務がわかりません。
【回答】総括安全衛生管理者の具体的な職務をまとめると、7つあります
総括安全衛生管理者の職務をまとめると、以下の7つになります。
- 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
- 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
- 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
- 労働災害の原因の調査および再発防止対策に関すること
- 安全衛生に関する方針の表明に関すること
- 法第28条の2第1項又は第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること(リスクアセスメント)
- 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
総括安全衛生管理者の具体的な職務の法的根拠
総括安全衛生管理者の職務の法的根拠は、労働安全衛生法第10条第1項です。
総括安全衛生管理者
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、…総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は…次の業務を統括管理させなければならない。
1 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
2 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
3 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
4 労働災害の原因の調査および再発防止対策に関すること
5 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
労働安全衛生法 第10条(総括安全衛生管理者)
「業務を統括管理する」とは
「業務を統括管理する」について、昭和47年9月18日基発第602号に解説が記載されています。
総括安全衛生管理者(第10条関係)
第1項の「業務を統括管理する」とは、第1項各号に掲げる業務が適切かつ円満に実施されるよう所要の措置を講じ、かつ、その実施状況を監督する等当該業務について責任をもって取りまとめることをいうこと。
昭和47年9月18日基発第602号
「その他健康の保持増進のための措置に関すること」とは
「その他健康の保持増進のための措置に関すること」について、昭和47年9月18日基発第602号に解説が記載されている。
総括安全衛生管理者(第10条関係)
第1項第3号の「その他健康の保持増進のための措置に関すること」には、健康診断の結果に基づく事後措置、作業環境の維持管理、作業の管理及び健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置が含まれること。
昭和47年9月18日基発第602号
「厚生労働省令で定めるもの」とは
「厚生労働省令で定めるもの」について、安全衛生規則第3条の2に記載がされています。
総括安全衛生管理者が総括管理する業務
法第10条第1項第5の厚生労働省令で定める業務は、次のとおりとする。
1 安全衛生に関する方針の表明に関すること
2 法第28条の2第1項又は第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
3 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
労働安全衛生規則 第3条の2(総括安全衛生管理者が統括管理する業務)
「第28条の2第1項」の危険性又は有害性の調査とは
「法第28条の2第1項」の危険性又は有害性の調査とは、リスクアセスメントのことです。
事業者の行うべき調査等
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(第57条第1項の政令で定める物及び第57条の2第1項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等を除く。)を調査し、その結果に基づいて、この法律またはこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし。当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。
労働安全衛生法第28条の2(事業者の行うべき調査等) 抜粋
(参考)第57条第1項
表示等
爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する錠剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第1項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活のように供するためのものについては、この限りではない。
1 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 人体に及ぼす作用
ハ 貯蔵又は取り扱い上の注意
二 イからハまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2 当該物を取り扱う作業者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの
労働安全衛生法第57条第1項(表示等) 抜粋
(参考)第57条の2 第1項
文章の交付等
労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第56条第1項の物を譲渡し、又は提供する者は、文章の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活のように供される製品として通知対象物を譲渡し又は提供する場合については、この限りでない。
1 名称
2 成分及びその含有量
3 物理的及び化学的性質
4 人体に及ぼす作用
5 貯蔵又は取り扱い上の注意
6 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
7 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
労働安全衛生法第57条の2第1項(文章の交付等)
「第57条の3第1項及び第2項」の危険性又は有害性の調査
「法第57条の3第1項及び第2項」の危険性又は有害性の調査とは、リスクアセスメントのことです。
第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物にうちて事業者が行うべき調査等
1 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物による危険性又は有害性を調査しなければならない。
2 事業者は、前項の調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
労働安全衛生法第57条の3 (第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物にうちて事業者が行うべき調査等) 抜粋