法律で定められた衛生管理者の職務は?

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【質問】法律で定められた衛生管理者の職務は?

衛生管理者の選任が法律上必要なことは知っていますが、衛生管理者の具体的な職務がわかりません。

【回答】衛生管理者の職務は「総括安全衛生管理者の職務のうち衛生に係る技術的事項の管理」「職場の定期巡視」があります。また、衛生管理者には「衛生に関する措置」をなし得る権限を与える必要があります。

衛生管理者は「総括安全衛生管理者の職務のうち衛生に係る技術的事項の管理」「職場の定期巡視」を行う必要があります。また、衛生管理者には「衛生に関する措置」をなし得る権限を与える必要があります。それぞれを箇条書きすると以下の内容となります。

総括安全衛生管理者の職務のうち衛生に係る技術的事項の管理

  1. 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
  2. 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
  3. 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
  4. 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
  5. 安全衛生に関する方針の表明に関すること
  6. 法28条の2第1項又は57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。(リスクアセスメント)
  7. 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること

職場の巡視

  1. 少なくとも毎週一回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じること

衛生に関する措置

  1. 健康に異常のある者の発見及び処置
  2. 作業環境の衛生上の調査
  3. 作業条件、施設等の衛生上の改善
  4. 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
  5. 衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
  6. 労働者の負傷および疾病、それによる死亡、欠勤および移動に関する統計の作成
  7. その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し必要な措置
  8. その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

衛生管理者の職務の法的根拠について解説

衛生管理者の職務

衛生管理者の職務について、労働安全衛生法第12条に記載されています。

衛生管理者

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

労働安全衛生法第12条1項 衛生管理者

上記「第十条第一項各号」とは、以下の内容です。

総括安全衛生管理者

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

1 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。

2 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。

3 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。

4 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

5 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

労働安全衛生法第10条第1項 総括安全衛生管理者

上記「労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの」とは、労働安全衛生規則第3条の2の条文の内容です。

総括安全衛生管理者が総括管理する業務

法第10条第1項第5号の厚生労働省令で定める業務は、以下のとおりとする。

1 安全衛生に関する方針の表明に関すること。

2 法28条の2第1項又は57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。

3 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。

労働安全衛生規則第3条の2 総括安全衛生管理者が総括管理する業務

なお、上記の「法28条の2第1項又は57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査」とは、リスクアセスメントのことである。

衛生管理者の定期巡視

衛生管理者の職場巡視について、労働安全衛生規則第11条に記載されています。

衛生管理者の定期巡視及び権限の付与

衛生管理者は、少なくとも毎週一回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。

労働安全衛生規則第11条 衛生管理者の定期巡視及び権限の付与

上記「衛生に関する措置」について、昭和47.9.18基発第601号の1に記載されています。

第11条関係

(2)第2項の「衛生に関する措置」とは、法第12条第1項の規定により衛生管理者が行うべき措置をいい、具体的には、次のごとき措置を指すこと。

イ 健康に異常のある者の発見及び処置

ロ 作業環境の衛生上の調査

ハ 作業条件、施設等の衛生上の改善

二 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備

ホ 衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項

へ 労働者の負傷および疾病、それによる死亡、欠勤および移動に関する統計の作成

ト その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し必要な措置

チ その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

昭47.9.18 基発第601号の1
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