【質問】管理濃度と許容濃度の違いは何ですか?
管理濃度と許容濃度の違いは何ですか?似たような用語で違いがわかりません。
【回答】管理濃度は労働安全衛生法に定義があり、許容濃度は日本産業衛生学会で定義が示されています。
管理濃度の定義および許容濃度の違いについて昭和63年9月16日基発第605号に記載があります。
簡潔に説明すると、管理濃度は労働安全衛生法で「作業環境管理を進める過程で、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、作業環境測定基準に従って単位作業場所について実施した測定結果から当該単位作業場所の作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定する際の指標」と記載されています。
一方、許容濃度は日本産業衛生学会によって「労働者が1日8時間、1週間に40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度」と定義されています。
管理濃度の法的解説について
管理濃度の定義および許容濃度の違いについて、昭和63年9月16日基発第605号に記載されています。
「管理濃度」とは、作業環境管理を進める過程で、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、作業環境測定基準に従って単位作業場所について実施した測定結果から当該単位作業場所の作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定する際の指標であり、学会等の示す暴露限界及び各国の暴露の規制のための基準の動向を踏まえつつ作業環境管理技術の実用可能性その他作業環境管理に関する国際的動向等をもとに、作業環境管理の目的に沿うよう行政的な見地から設定したものであること。
なお、管理濃度は統計的に処理したものと対比すべきもので、ここの測定値と直接対比することはできず、ここの労働者の暴露濃度と対比することを前提として設定されている暴露限界(日本産業衛生学会の「許容濃度」、米国産業衛生専門家会議(ACG IH)のTLVーTWA等)とは異なるものであること
昭和63年9月16日基発第605号
許容濃度について
許容濃度の定義について、日本産業衛生学会で以下のように定義されています。
ア 許与濃度とは、労働者が1日8時間、1週間に40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。
イ 最大許容濃度とは、作業中のどの時間をとっても暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。一部の物質の許容濃度を最大許容濃度として勧告する理由は、その物質の毒性が、短時間で発現する刺激、中枢神経抑制等の生態影響を主とするためである。実際には、最大暴露濃度を含むと考えられる5分程度までの短時間の測定によって得られる最大の値を考えればよい。
許容濃度の定義
また、許容濃度等の性格について、日本産業衛生学会で以下のように説明されています。
ア 許容濃度等は産業における経験、人および動物についての実験的研究から得られた多様な知見に基礎を置いており、許容濃度等の設定に用いられた情報の量と質は必ずしも同等のものではない。
イ 許容濃度等を決定する場合に考慮された生態影響の種類は物質等によって異なり、ある種のものでは、明瞭な健康障害に、また他のものでは、不快、刺激、中枢神経抑制などの生体影響に根拠が求められている。従って、許容濃度等の数値は、単純に、毒性の強さの相対的比較の尺度として用いてはならない。
ウ 許容濃度等は、安全と危険の明らかな境界を示したものと考えてはならない。
許容濃度の性格