【質問】アスマン通風乾湿計とは何ですか?
作業環境測定で出てくる「アスマン通風乾湿計」とは何ですか?
【回答】空気の真の温度と湿度を測定できる乾湿計です
アスマン通風乾湿計とは、空気の真の温度と湿度を測定できる乾湿計です。
作業環境測定規則により、気温・湿度の作業環境測定は、アスマン通風乾湿計と同等以上の性能を有する測定機器で実施することとされています。
アスマン通風乾湿計が関係する法令
アスマン通風乾湿計が関係する法令として、作業環境測定基準第3条3項があります。
気温、湿度等の測定
3 測定は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる測定機器又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行うこと。
作業環境測定基準第3条3項
区 分 | 測定機器 |
気温及び湿度 | 〇・五度目盛のアスマン通風乾湿計 |
ふく射熱 | 〇・五度目盛の黒球寒暖計 |
アスマン通風乾湿計と同等以上の性能を有する測定機器について
上記の「アスマン通風乾湿計と同等以上の性能を有する測定機器」について、平成9年基発第133号に記載されています。
作業環境測定基準第3条第3号の0.5度目盛のアスマン通風乾湿計と同等以上の性能を有する測定機器について
労働安全衛生規則第607条第1項の規定により、同規則587条に掲げる屋内作業場において、気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならないこととされており、このうち、気温の測定については、作業環境測定基準第3項第3号の規定により、0.5度目盛のアスマン通風乾湿計又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行わなければならないとされているところである。
今般、当該気温の測定において、「検出素子として日本工業規格Z8710(温度測定方法通則)に定める規格に適合する白金測温抵抗体を用いた最小目盛0.5度以下の計測器」を「0.5度目盛のアスマン通風乾湿計と同等以上の性能を有する測定機器」に該当するものとして取り扱うこととしたので、了知されるとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
平成9年基発第133号
アスマン通風乾湿計とは
アスマン通風乾湿計とは、温度計の球部に大量の空気を吹き付けて、空気の真の温度と湿度を測定できる乾湿計です。
気象観測における空気の温度と湿度測定を目的として設計されました。
アスマン通風乾湿計の構造
アスマン通風乾湿計は、空気を吸引するファン、ファンによって吸引される空気流の2本の導管、その中に感温部を取り付けた2本の乾・湿水銀温度計から成り立っています。
本体は外部の熱や光を遮断するために光沢のある金属で覆われています。温度計が入っている空気導管は二重管となっているため、本体内の温度が日光の照射によって上昇することはありません。
ファンの作動によって導管内には2.5m /sの空気流が生じ、この温度計の応答時間はファンを回転しはじめてから5分くらいです。
アスマン通風乾湿計の語源
アスマン通風乾湿計は、1887年にドイツのリヒアルト・アスマンによって考案されました。
考案者の名前を取って「アスマン通風乾湿計」と呼ばれています。
参考文献
- 作業環境測定のための分析概論(公益社団法人日本作業環境測定協会)
- 作業環境測定ガイドブック6温湿度・騒音・酸欠作業場所の測定の実務(公益社団法人日本作業環境測定協会)