【質問】消防法などの条文に出てくる「不燃材料」の定義は何ですか?
消防法に関連する条文に出てくる「不燃材料」の定義は何ですか?
法令上定義はされていますか?
【回答】不燃材料の定義は危険物の規制に関する政令第9条に記載されています。
「不燃材料」の定義は危険物の規制に関する政令第9条及び他の条文や告示等が関連して定義が記載されています。
不燃材料の要件として、加熱開始後20分間、以下の3つの条件を満たすことが定められています。
- 燃焼しないものであること。
- 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
- 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
また、具体的な材質として以下のものが指定されています。
- コンクリート
- れんが
- 瓦
- 陶磁器質タイル
- 繊維強化セメント板
- 厚さが三ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板
- 厚さが五ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
- 鉄鋼
- アルミニウム
- 金属板
ガラス ※ガラスは危険物の規制に関する規則第10条(不燃材料)により除外- モルタル
- しっくい
- 石
- 厚さが12ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6ミ リメートル以下のものに限る。)
- ロックウール
- グラスウール板
- 厚さが 10 mm以上の壁土
危険物の規制に関する政令第9条
危険物の規制に関する政令第9条(製造所の基準)に不燃材料の定義が記載されています。
危険物の規制に関する政令第9条第1項(製造所の基準)
第9条 法第10条第4項の製造所の位置、構造及び設備(消火設備、警報設備及び避難設備を除く。以下この章の第一節から第三節までにおいて同じ。)の技術上の基準は、次のとおりとする。
一 製造所の位置は、次に掲げる建築物等から当該製造所の外壁又はこれに相当する工作物の外側までの間に、それぞれ当該建築物等について定める距離を保つこと。ただし、イからハまでに掲げる建築物等について、不燃材料(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の不燃材料のうち、総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で造つた防火上有効な塀を設けること等により、市町村長等が安全であると認めた場合は、当該市町村長等が定めた距離を当該距離とすることができる。
危険物の規制に関する政令第9条第1項(製造所の基準)
総務省令で定めるもの
危険物の規制に関する政令第9条(製造所の基準)に記載がある「総務省令で定めるもの」について、危険物の規制に関する規則第10条(不燃材料)に記載されています。
危険物の規制に関する規則第10条(不燃材料)
第10条 令第9条第1項第1号本文ただし書の総務省令で定める不燃材料は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号に掲げる不燃材料のうち、ガラス以外のものとする。
危険物の規制に関する規則第10条(不燃材料)
建築基準法第2条第9号
危険物の規制に関する政令第9条(製造所の基準)及び危険物の規制に関する規則第10条(不燃材料)に記載されている建築基準法第2条第9号の内容は以下のとおりです。
建築基準法第2条第9号(用語の定義)
第2条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
九 不燃材料 建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
建築基準法第2条第9号(用語の定義)
不燃性能に関して政令で定める技術的基準
建築基準法第2条第9号(用語の定義)で記載されている「不燃性能に関して政令で定める技術的基準」について、建築基準法施行令第108条の2に記載されています。
建築基準法施行令第108条の2(不燃性能及びその技術的基準)
第108条の2 法第2条第9号の政令で定める性能及びその技術的基準は、建築材料に、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間次の各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしていることとする。
一 燃焼しないものであること。
二 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
三 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
建築基準法施行令第108条の2(不燃性能及びその技術的基準)
不燃材料の具体的な内容
建築基準法第2条第9号(用語の定義)で記載されている「不燃性能に関して政令で定める技術的基準」に掲げる要件をみてたしている建築材料について、「不燃材料を定める件(平成12年5月30日建設省告示第1400号、平成16年9月29日国土交通省告示第1178号)」及び「不燃材料を定める件の一部を改正する件等の施行について(国住指第 137号 令和4年5月 31 日)」で以下のように記載されています。
不燃材料を定める件(平成12年5月30日建設省告示第1400号、平成16年9月29日国土交通省告示第1178号)の内容は以下のとおりです。
不燃材料を定める件(平成12年5月30日建設省告示第1400号、平成16年9月29日国土交通省告示第1178号)※抜粋
建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の規定に基づき、不燃材料を次のように定める。
不燃材料を定める件 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百八条の二各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあっては、同条第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしてい る建築材料は、次に定めるものとする。
一 コンクリート
二 れんが
三 瓦
四 陶磁器質タイル
五 繊維強化セメント板
六 厚さが三ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板
七 厚さが五ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
八 鉄鋼
九 アルミニウム
十 金属板
十一 ガラス
十二 モルタル
十三 しっくい
十四 石
十五 厚さが十二ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが〇・六ミ リメートル以下のものに限る。)
十六 ロックウール
十七 グラスウール板
不燃材料を定める件(平成12年5月30日建設省告示第1400号、平成16年9月29日国土交通省告示第1178号)※抜粋
不燃材料を定める件の一部を改正する件等の施行について(国住指第 137号 令和4年5月 31 日)の内容は以下のとおりです。
不燃材料を定める件の一部を改正する件等の施行について(国住指第 137号 令和4年5月 31 日)※抜粋
1.改正の経緯
建築基準法施行令(昭和 25 年政令第 338 号)第 128 条の5の規定により、特殊建築物の一定の居室等は防火性能を有するよう壁及び天井の室内に面する部分の仕上げに一定の防火性能を有する材 料を使用しなければならない。一方で、壁土については、不燃材料を定める件(平成 12 年建設省告 示第 1400 号)に位置付けられていないため、
・土壁で造られた既存建築物を店舗やホテルなどに用途変更する場合には、同条の規定への適合が求められ、壁を現しのままとすることができない
・木造などの壁のボードの上に土を塗って仕上げる設計ができない
等の課題があるとの指摘がある。
今般、建築基準整備促進事業により、一定の厚さを有する壁土について、所定の防火性能を満たす ことが確認されたことを踏まえ、不燃材料を定める件について、所要の改正を行うこととした。
2.告示改正の概要
不燃材料に「厚さが 10 mm以上の壁土」を追加する。
不燃材料を定める件の一部を改正する件等の施行について(国住指第 137号 令和4年5月 31 日)※抜粋