「A火災」や「B火災」の法令上の定義は?

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【質問】「A火災」や「B火災」とは何ですか?定義はありますか?

消火器には「A火災」や「B火災」という表示がありますが、「A火災」や「B火災」とは何ですか?

法令上の定義はありますか?

【回答】「A火災」および「B火災」について、「消火器の技術上の規格を定める省令」に定義があります。

「A火災」および「B火災」について、「消火器の技術上の規格を定める省令」に定義が記載されています。

「A火災」は「B火災以外の火災」と定義されています。

「B火災」は「引火性液体」「可燃性個体類」「可燃性液体類」に関わる火災と定義されています。

消火器の技術上の規格を定める省令

「A火災」および「B火災」の法令上の定義について、消火器の技術上の規格を定める省令第1条の2(用語の意義)の第13号および第14号に記載されています。

消火器の技術上の規格を定める省令第1条の2(用語の意義)

この省令において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

13 A火災 次号に掲げるB火災以外の火災をいう。

14 B火災 消防法(昭和23年法律第186号)別表第一に掲げる第四類の危険物並びに危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)別表第四に掲げる可燃性固体類及び可燃性液体類に係るものの火災をいう。

消火器の技術上の規格を定める省令第1条の2(用語の意義)

上記より、B火災は「消防法(昭和23年法律第186号)別表第一に掲げる第四類の危険物」と「危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)別表第四に掲げる可燃性固体類及び可燃性液体類」に係るものの火災となります。

消防法消防法別表第第一に掲げる第四類の危険物

上記の「消防法(昭和23年法律第186号)別表第一に掲げる第四類の危険物」とは、下記の消防法別表第一に記載されている内容であり、端的に言うと「第4類の危険物」です。

消防法 別表第一(第二条、第十条、第十一条の四関係)※抜粋

類別性質品名
第四類引火性液体一 特殊引火物
二 第一石油類
三 アルコール類
四 第二石油類
五 第三石油類
六 第四石油類
七 動植物油類

(参考)消防法第2条第7項

消防法第2条の用語の定義の中に「危険物」の定義があり、別表第一が出ていきます。

消防法第2条第7項

この法律の用語は左の例による。

 危険物とは、別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。

消防法第2条第7項

(参考)消防法第10条

消防法第10条第2項に、別表一に関連する条文が記載されています。

消防法第10条第2項

 別表第一に掲げる品名(第11条の4第1項において単に「品名」という。)又は指定数量を異にする二以上の危険物を同一の場所で貯蔵し、又は取り扱う場合において、当該貯蔵又は取扱いに係るそれぞれの危険物の数量を当該危険物の指定数量で除し、その商の和が一以上となるときは、当該場所は、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱つているものとみなす。

消防法第10条第2項

(参考)消防法第11条の4

消防法第11条の4に別表第一に関連する条文が記載されています。

消防法第11条の4

 製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しないで、当該製造所、貯蔵所又は取扱所において貯蔵し、又は取り扱う危険物の品名、数量又は指定数量の倍数(当該製造所、貯蔵所又は取扱所において貯蔵し、又は取り扱う危険物の数量を当該危険物の指定数量で除して得た値(品名又は指定数量を異にする二以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合には、当該貯蔵又は取扱いに係るそれぞれの危険物の数量を当該危険物の指定数量で除して得た値の和)をいう。)を変更しようとする者は、変更しようとする日の十日前までに、その旨を市町村長等に届け出なければならない。

 前項の場合において、別表第一の品名欄に掲げる物品のうち同表第一類の項第11号、第二類の項第8号、第三類の項第12号、第五類の項第11号又は第六類の項第5号の危険物は、当該物品に含有されている当該品名欄の物品が異なるときは、それぞれ異なる品名の危険物とみなす。

消防法第11条の4

危険物の規制に関する政令別表第四に掲げる可燃性個体類及び可燃性液体類

上記の「危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)別表第四に掲げる可燃性固体類及び可燃性液体類」とは、下記の危険物の規制に関する政令別表第4に記載されている内容であり、危険物の規制に関する政令第1条の12(指定可燃物)として規制されている「可燃性個体」と「可燃性液体」のことです。

別表第四(第一条の十二関係)

品名数量
綿花類200kg
木毛及びかんなくず400kg
ぼろ及び紙くず1,000kg
糸類1,000kg
わら類1,000kg
再生資源燃料1,000kg
可燃性固体類3,000kg
石炭・木炭類10,000kg
可燃性液体類2m³
木材加工品及び木くず10m³
合成樹脂類発泡させたもの20m³
その他のもの3,000kg

備考

 可燃性固体類とは、固体で、次のイ、ハ又はニのいずれかに該当するもの(一気圧において、温度20度を超え40度以下の間において液状となるもので、次のロ、ハ又はニのいずれかに該当するものを含む。)をいう。

 引火点が40度以上100度未満のもの

 引火点が70度以上100度未満のもの

 引火点が100度以上200度未満で、かつ、燃焼熱量が34キロジュール毎グラム以上であるもの

 引火点が200度以上で、かつ、燃焼熱量が34キロジュール毎グラム以上であるもので、融点が100度未満のもの

 可燃性液体類とは、法別表第一備考第十四号の総務省令で定める物品で液体であるもの、同表備考第15号及び第16号の総務省令で定める物品で一気圧において温度20度で液状であるもの、同表備考第17号の総務省令で定めるところにより貯蔵保管されている動植物油で一気圧において温度20度で液状であるもの並びに引火性液体の性状を有する物品(一気圧において、温度20度で液状であるものに限る。)で一気圧において引火点が250度以上のものをいう。

(参考)危険物の規制に関する政令第1条の12関係

危険物の規制に関する政令第1条の12では、指定可燃物の品名等について記載されています。

危険物の規制に関する政令第1条の12(指定可燃物)

 法第9条の4の物品で政令で定めるものは、別表第四の品名欄に掲げる物品で、同表の数量欄に定める数量以上のものとする。

危険物の規制に関する政令第1条の12

消防法第9条の4

消防法第9条の4では、指定可燃物について定義されています。

消防法第9条の4

 危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める。

消防法第9条の4
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